2020年10月から酒税法が改正されると聞いたんですが、ワインも値上がりするんですか?
小売店次第だけど、ほとんど影響ないと思うよ。
今年2020年の10月にお酒の税金である酒税の税率が改正されます。
税率はお酒によって異なりますが、ワインは10円増えます。
税金が10円増えると、ワインの価格にどう影響するのか?
詳しくご説明しますね。
※2022年10月の値上げについて
このブログは2年前の酒税法改正について解説しています。2022年10月の値上がりとは関係ありません。
2022年10月の値上がりは、輸入ワインだけでなく、日本ワインも資材の高騰により価格を上げざるを得ないと伺いました。ご購入の際はご注意ください。
2020年10月1日の酒税の税率改正とは?
今回の酒税法の改正内容を簡単にまとめると、以下の2点になります。
・ビール・発泡酒・第3のビールの税金を同じにする。
・日本酒とワインの税金を同じにする。
昔からビールだけ酒税が高く設定されていました。
そのため発泡酒や第3のビールという「ビールみたいだけど、法律上ビールではない」飲料が作られて、高い税金をかからないようにして、安価で提供する工夫がされていたんですね。
それを同じ税金するということは、人気の第3のビールからの税収アップを見込んでいるのでしょうね。
このように今回の改正のメインはビールなんですが、ついでに?日本酒とワインも酒税を同じにすることになって、残念ながらワインの税金がちょこっと上がることになりました・・・。ちっ。
でもほんの少しなのでほとんど影響はなさそうですよ。ご安心くださいね。
そもそも、ワインの酒税とは?税率改定後はいくらになる?
私たちがお店でワインを買っても、「酒税 7円」とかレシートに印字されてないですよね。
さて一体どのタイミングで誰が払っているのでしょうか。
酒税って何?誰が払うの?
酒税を払うのは、「メーカーがお酒を販売した時」か、輸入ワインは「インポーターがワインを仕入れた時」です。消費者である私たちが直接払うことはありません。だからあまり身近に感じないんですね。
でも、酒税が上がれば原価が上がるため、小売価格にも影響が出る可能性はあります。
税率改定後はいくらになる?
改定前の、2020年現在のワイン(果実酒)の酒税は、1リットルあたり80円。
ちなみに日本酒(清酒)は1リットルあたり120円です。
改定後はワインと日本酒を「醸造酒類」という名前で一緒にして
最終的(2023年)には1リットルあたり100円になる予定です。
2020年、ワインの酒税は90円に。小売価格に影響が出る可能性も。
「最終的」と言いましたが、酒税の改正は「経過措置期間」が3年あり、段階的に上がります。まず今年は10円アップして90円になり、2023年にはもう10円アップして100円になります。
影響があるのは酒税を支払うメーカー、インポーターですが、小売価格の影響が出る可能性もあります。
酒税の税率改定で、ワインはいくら値上がりするの?
とりあえず、今年(2020年10月)は10円上がるということはわかりました。
1本につき10円上がるわけではないですよ。1リットル10円です。
ワイン1本は750ml(720mlのものもある)なので、実際には1本あたり7.5円から7.2円ということになりますね。
実際に、前回酒税が10円アップした時には小売価格が7円アップしていました。
前回の増税時の値上は7円、小売価格への影響は少ない
前回、2006年の税率改正時はワインの小売価格は約7円の値上げされていました。
おそらく2020年10月の税率改正もほぼ同様の上げ幅になるのではないでしょうか。
その理由について詳しく見ていきましょう。
仕入れ値が1本あたり7.5円上がると、小売価格にどのように影響してくるのでしょうか?
インポーターの情報を確認してみましょう。
2020年6月現在のインポーターの発表
アサヒビール (2020年5月19日)
2020年10月1日に施行される酒税税率改正に伴い、国内で販売するビール・新ジャンルの全ブランド、発泡酒(麦芽比率50%以上)、ワイン(アルコール10度未満の発泡性を有するワイン・甘味果実酒を除く)を対象に、生産者価格を同日より改定します。
https://www.asahibeer.co.jp/news/2020/0519.html
価格改定を実施する主なブランド:サントネージュ リラ、サンタ・ヘレナ・アルパカ
サントリー (2020年5月28日)
2020年10月1日(木)に施行される酒税の税率改正に伴い、国内で販売するビール、新ジャンル、ワイン(甘味果実酒、アルコール10度未満の発泡性を有するワインを除く)、紹興酒を対象に、生産者価格を改定します。
https://www.suntory.co.jp/news/article/13716.html
価格改定を実施する主なブランド: デリカメゾン、酸化防止剤無添加のおいしいワイン。、カルロ ロッシ、サンタ バイ サンタ カロリーナ、フレシネ※、バロン ド レスタック
キリン (2020年5月26日)
今年 10 月の酒税税率改正に伴い、2020年10月1日(木)より、国内で販売するビール、新ジャンル、紹興酒、ワイン※について、生産者価格を改定します。
https://www.kirin.co.jp/company/news/2020/0526_02.pdf
対象商品 ・・・「おいしい酸化防止剤無添加ワイン」、「フロンテラ」など
各社の酒税の税率改定の発表まとめ
このように、どのメーカーも、10/1に生産者価格を改定します、としか発表していません。
銘柄も「主なブランド」や「〜など」ばかりでどのワインがいくら値上がりするのかは明言していませんね。
過去の事例を詳しく確認してみましょう。
参考:2006年の酒税法 税率改定時の値上がりは?
税務署発表の「酒税法の改正等のあらまし」を確認したところ、前回の酒税改定は2006年(平成18年)でした。
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/kaisei/mokuji.html
前回は2006年に10円アップ
平成18年(2006年)は、1キロリットルあたり80,000円(=1リットル80円)に上がりました。
前々回の平成15年(2003年)が、1キロリットルあたり70,000円(=1リットル70円)だった、2006年は1リットルあたり10円アップしたことがわかります。
上がり幅が今回と同じですね。
その時、小売価格にはどのような影響があったか見ていきましょう。
アサヒビールはワイン1本あたり希望小売価格を7円値上げ
14年も前のことなのであまり資料がなかったのですが、アサヒビールさんだけありました。(アサヒビールさんありがとう!)
平成18年4月5日に、「バロン・フィリップ・ムートン・カデ・ルージュ」などの希望小売価格を7円アップを発表していました。
こちらです。
ニュースリリース 酒税法改正に伴う希望小売価格の改定について
https://www.asahibeer.co.jp/news/2006/0405-2.html
酒税法改正に伴い、カテゴリーごとの酒税増減幅を極力忠実に希望小売価格に反映させることにより、お客様および流通の皆様のご理解が得られるよう努めます。
とのことなので、本当にぴったり税金の分だけ上げたんですね。
今年の10月も同様の発表になる可能性が高いと言えるのではないでしょうか。
値上がりしているのは「単なる参考価格」
ですが、値上がりしたのは「希望小売価格」であることがポイントです。
アサヒビールさんのニュースリリースにもこうあります。
希望小売価格は単なる参考価格であり、酒販店様の小売価格設定を拘束するものではありません。
スーパーなどではだいたいどの商品も希望小売価格よりちょっと安くしてますよね。
卸値で仕入れて、売値をいくらにするかは小売店の自由なんです。
たとえば、希望小売価格1,000円のワインAがあったとしましょう。
スーパーBではワインAを880円で販売しています。
しかし10月の改定で、ワインAの希望小売価格が1,007円になります。
スーパーBでそのワインAの仕入れが70%だったら、1本あたりの仕入値は700円だったところから、704円にアップします。
さてスーパーBではこのワインの売値をいくらにするでしょうか?
4円あがったので884円にします?お客様は気づかないかもしれませんね。
おそらく利益を4円減らして、お値段据置にするのではないでしょうか?
前回の増税時の値上は7円、小売価格への影響は少ない
と、いうわけで値上がりとは言っても「希望小売価格」が7円上がっただけなので、ワインの1本の実際の小売価格にはあまり影響がないと言って良いかと思います。
まとめ
・2020年10月にワインの税金は10円上がる
・2023年にはもう10円あがる予定
・各社はまだ、何をいくら値上げするかは発表していない
・前回は「希望小売価格」が7円上がったが影響は少ない
・実際の小売価格をどうするかは、お店次第
心配なのは、この増税を機にワインも含め全体的に価格を見直す(値上げする)可能性があることです。
大手ワインショップさんに聞いてみました。「まだ決まっていないが、上がるかどうかは商品により異なる」「でも、大して変わらないので気にするほどではない」とおっしゃってました。やっぱりあまり影響なさそうですね。よかった^^
2020.9.5追記
セブンイレブンで今年のボジョレーヌーヴォーの予約が始まりましたが、昨年より若干値上げされたようです。