496ワイナリー 高評価の理由は、類稀な超粘土地と… 東御ワイナリーツアー2023年3月

ワイナリーツアー/日本/長野/東御/
  1. ホーム
  2. ワイナリーツアー
  3. 496ワイナリー 高評価の理由は、類稀な超粘土地と… 東御ワイナリーツアー2023年3月

長野県東御市ワイナリーツアーレポ第3弾!「496ワイナリー」さんに伺いました!

496ワイナリーエントランス

496ワイナリーについて

湯楽里館ワイン&ビアミュージアムの496ワイナリーのパネル
湯楽里館ワイン&ビアミュージアムのパネル

496(シクロ)とはフランス語(cyclo)で自転車という意味。代表の飯島さんが元競輪・自転車競技の選手だったことに由来しています。異業種からの転入にも関わらず、初めて醸造したワインがミシュラン2つ星のレストランにオンリストされたり、神の雫・マリアージュに掲載されたり、東京アメリカンクラブに採用されたりと大注目されているワイナリーです。

496ワイナリーのカウンター
ワイン・自転車モチーフのアートがたくさん!

ワインは10種類!

496ワイナリーのワインラインナップ

ワインは全て自社栽培、自社醸造。ブドウは5品種植えており、ロゼにしたりアッサンブラージュしたりしてバリエーションを増やし10種類ほどのワインを作っているそう。

  • アルモノワール
  • メルロー
  • ピノ・ノワール
  • シャルドネ
  • ソーヴィニョン・ブラン

ワイン名品種価格
サイクリング ロゼメルロー¥2,800
チーム パシュート2020ピノ・ノワール
シャルドネ
ソーヴィニヨン・ブラン
¥3,000
パシュート
アルモノワール2020
アルモノワール¥3,600
パシュート
ソーヴィニョン・ブラン2020
ソーヴィニョン・ブラン¥3,600
パシュート
シャルドネ2020
シャルドネ¥3,600
マディソン
ピノ・ノワール2020
ピノ・ノワール¥3,850
パシュート
ソーヴィニョン・ブラン樽発酵2020
ソーヴィニョン・ブラン¥3,900
アマンダ メルロー2020メルロー¥3,900
タンデムルージュ 2020メルロー
アルモノワール
¥3,980
496八重原メルロー2019メルロー¥7,150

「パシュート」というのは、飯島さんが得意だった自転車競技の種目名なんだそうですよ。

特に白ワインの評価が高い!

神の雫に掲載されたのは、「パシュート シャルドネ2017」、ピエール・ガルニエールにオンリストされているのは「パシュート ソーヴィニョンブラン 2019」で、東京アメリカンクラブは「パシュート シャルドネ2019」です。現在どれも売り切れています。人気のほどが伺えますね!

・神の雫掲載ページ

ピエール・ガルニエール ワインリスト P17より

ピエール・ガルニエールワインリストP17 日本の白ワイン
https://anaintercontinental-tokyo.jp/pierre_gagnaire/pdf/winelist.pdf

東京アメリカンクラブ2月号 P11より

東京アメリカンクラブ2月号 P11
https://issuu.com/intouch_magazine/docs/2021-02-february-intouch

ワインテイスティング!

ソーヴィニョン・ブランをテイスティングした感想をご紹介します。

すごくボリュームがあり、ボディがしっかりしていて香りも果実も凝縮感があります!
飲みごたえがあってすごく美味しい……!!これは人気が出るわけがわかります!

496ワイナリーのワインは、どれもボリューム・骨格がしっかりしていると評判らしいのです。すると、飯島さんは「そういうブドウが取れる場所なんです」とおっしゃっていました。

496ワイナリーのテロワールとは

ちょっと地図を遠くから見てみましょう。

496ワイナリーの畑は、ワイナリーすぐそばの「八重原(やえはら)」という地域にあります。

この八重原地区の土壌が、「超」がつくくらいの粘土質なんだそうです。
あまりにキメが細かいので、下の地層は酸素が遮断されて鉄分が還元化するほどだそう。え?どんだけ?

さらに、八重原台地は長野県の中でも際立って昼夜の温度差の激しい地域だそうです。
たとえば496ワイナリーの畑の標高は680mくらいで、対岸のワイナリーさんは850mだそう。普通は高い場所の方が寒くなるのですが、八重原台地は放射冷却が起こるため、496ワイナリーの方が寒くなりマイナス17以下になることもあるんだとか……。

寒さで霜にやられやすいという弱点はあるものの、そのリスクをクリアすれば非常に良いブドウが得られる場所なんだそうですよ!

どうしてワイン作りを始めたの?

それにしても、競輪選手を引退後、なぜ全く違う分野の「ワイン作り」を始められたのでしょうか?そのきっかけなども詳しくお話くださいました。

ワインの楽しいイメージ、雰囲気

それは競技選手の現役時代のこと。海外に遠征することも多くウェルカムパーティなどでワインを楽しんだ体験がもとになっているそうです。「アル中でワイン飲む人っていないでしょう?」という例えには笑ってしまいましたが、ワインは晴れの日に恋人とおしゃれしてレストランで飲むような、楽しいイメージのあるお酒だったので、まずは雰囲気に憧れてイメージで入った、とおっしゃっていました。

手をかければ返ってくる、奥の深い面白さ

また、ワインは農作物なので、手をかければ返ってくる。そういうものを作ってみたかったそう。
最初は気軽な気持ちで本当にやるとは考えていなかったくらいだけれど、少し齧ってみたら何をやっても奥が深くて面白くて、本気で取り組んで行ったそうです。

イメージに憧れて気軽に、というお話だったんですが誰にでもできることではないと思います。ここからは私の想像ですが、選手時代には相当に過酷な訓練を緻密に重ねられてきたのではないでしょうか。凡人の私には想像もつかないくらいの情熱や根気がおありなんだと思います。その情熱をブドウに注ぎ込んだら……素晴らしいワインとなって返ってきたのかな……なんて思ってしまいました。

どうやってワイン作りを始めたの?

とは言っても、未経験の状態からいったいどうやったらこんな素晴らしいワインが作れるようになるんでしょうか?

長野の八重原台地を選んだ理由

はじめは、日本でワインって言えば山梨が一番だろう!と山梨のワイナリーへ学びに行ったそうです。すると、山梨では温暖化の景況もあり欧州系のブドウは品質が高まりにくくなっていたんだとか。フラッグシップのワインには小諸、椀子、北信のブドウを使っていると聞き、じゃあ長野に行こうとなったそうです。

標高が高く、寒暖差があり、南東向きの斜面ということで、長野の中でも東御がいいんじゃないかと探し始め、一旦は別の場所に決まりかけたこともあったけど、ご縁があってこの八重原台地になったそう。そこがまた唯一無二の土壌であったなんて、本当にご縁って不思議ですね。

どうやって醸造の技術を身につけたの?

でも、畑が買えてもゼロからいきなりワイン作るなんて無理ですよね。その頃タイミングよく、長野県が「ワインの生産者を育てよう」と動き始めていたそうなんです。本当にタイムリーですね。長野県工業技術総合センターで、技師さんや山梨大学の酵母の先生などから試験醸造を学ぶことができたそう。

普通、ワイナリーで働いて経験を積んで学ぶことが多いかもですが、ワイナリーで学ぶとそのワイナリーの責任者が事故が起こらないよう誘導してくれるので大きな失敗は起こらないそう。確かにそうですよね。

しかし、試験醸造なら違います。例えば「こんな仕込み方をしてみたいんですけど」「ギリギリまで亜硫酸控えたらどうなるの?」など、自由にチャレンジして「こうやるとこう失敗するんだ」ということが身をもって学べたそう。

それは貴重な経験ですね……!土地も、技術の習得も「縁が恵まれた」とおっしゃっていました。

素晴らしいご縁に恵まれたのも事実だと思いますが、ご縁を掴み取るのはやはり努力かと。緻密な努力を重ねられて結果を出されているのだなと思うと、謙虚な姿勢に尊敬を感じずにはいられません。

496ワイナリーまとめ

496ワイナリーは、短期間で高い評価を得ているので、どんな秘密があるのかななんて考えていましたが、ご縁のあった類稀な超粘土地に情熱を注がれた結果なのだということがよくわかりました。

また、地元の方にとても愛されていて、お伺いした時も近所の方がワイン買いにいらしてましたよ^^

facebookでは畑の最新情報がマメにアップされています。15年も続く飯島さんの個人ブログでは、現役時代のお話からワインの勉強を始め、ワインが評価を得るまでの流れがリアルに綴られています。大変興味深いのでぜひチェックしてみてくださいね。

参考情報

今回4件のワイナリーにお伺いすることができました。他の記事はこちらから合わせてご覧ください。