cave hatano(カーヴハタノ)1ヶ月経っても酸化しないワイン!?東御ワイナリーツアー2023年3月

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長野県東御市ワイナリーツアーレポ第4弾は、「cave hatano カーヴハタノ」さんです!

オーナーの波田野さんとワタシ。

↑この写真の白さから日当たりの良さがお分かりいただけるかと思います(笑)

cave hatano(カーヴハタノ)について

湯楽里館ワイン&ビアミュージアムのカーヴハタノ解説パネル
湯楽里館ワイン&ビアミュージアムのパネル

cave hatano(カーヴハタノ)は、なだらかな丘の斜面にあり、すごく眺めのよいめっちゃおしゃれなワイナリーでした!

カーヴハタノワイナリー外観

ヴィラデストワイナリーで7年経験を積まれた波田野さんが2013年に独立して作ったそう。2017年創業、2018年に自社醸造ワインをリリースされています。モダンでおしゃれなワイナリーにはショップも併設されています。(予約制)

カーヴハタノワイナリー カフェ入り口
カフェ入ったところ

波田野さんはもともと料理人だったそうで、農家レストランの先駆けだったヴィラデストワイナリーに入社。そのおかげで若いうちから東信地区のワイン作りを学べてラッキーだった、と仰っていました。

作り方・醸造の仕方の違い

波田野さんのワイン作りへのこだわりをお伺いしました。

美味しさは絶対に追求していきたい

美味しいワインを作るには、やっぱりいい原料(いいブドウ)を作らなきゃいけない。しかしやはり日本の気候ではとても難しい。日本は水に恵まれているので、ヨーロッパの乾燥地域から来たワイン用ブドウの栽培が適しているとは思わない。正直なところ本当は田んぼをやった方がいいと思う。

「完全無農薬」とかオーガニックもできないことはないが、それでは収穫量が半分以下になることもある。さらに、病気になったり虫にやられたりしやすいので、その前に収穫するとブドウが完熟しておらず、美味しいワインができない。美味しくない上経営的にも壊滅的な状態になっちゃったりする。

そのため、現時点でできるのは「超・減農薬」。梅雨の時期だけでも殺菌剤が使えたら収穫量が2倍になる。それでもJAなどの使用量の指標の1/10くらいでできる。そのわずかで美味しさが担保できるなら、今はそれが落とし所かなと考えている。

土地が求めているものを植える

よく「ピノ・ノワールが好きだからどうしても育てたい」という人がいるけど、本当にその土地に合っているのかどうかが大事だと思う。どの世界を見ても、いいものができて長続きするのは「土地に合ったもの」だから。

土地に合ったものを植えれば、収穫の適期に糖度・酸度・熟度の良いものがとれる。

あまり早生の品種を植えると、日本では収穫を待つことが難しい。日本は暑いので収穫期には酸が落ちてしまったり、秋は雨が降るので、病気になる前に収穫しようとすると、未熟なまま収穫することになる。

未熟だと旨みや香りがあまり出ない。しっかり熟させてから取りたいが、リスクが高い。

できれば同じ産地・同じ標高帯の他のメーカーさんより10日、2週間くらい遅く収穫したい。そこは個人でやっているので、大きな組織で全体のスケジュールに合わせて行うようなことはなく、今日とるぞ!みたいに、ブドウのタイミングを見て行うことができるのが強み。

cave hatano(カーヴハタノ)のテロワール

カーヴハタノにて
ワイナリーから千曲川方面を眺む

カーヴハタノのブドウ畑は、東御市の鞍掛(くらかけ)という地域で標高は850mほど。この辺りは古い地層で谷になっているので、上から流れてきた石などでサラサラの扇状地だそう。日当たりの良い南斜面、水はけの良い堆積層で粘土はあまりなく、シャルドネ、メルロー、ピノグリを栽培しています。

リリースワイン一覧

ラベルのアートは、その年のブドウの色をイメージして描いているんだそうですよ。
毎年色が違うんですって!すっごくおしゃれですね……!これは絶対保存しておこうっと。

カーヴハタノ ラベルアート
壁に飾られたラベルの版下

カーヴハタノのワインは主に、カジュアルラインの「ENSEMBLE アンサンブル」、看板商品の「KURAKAKE 鞍掛」、フラッグシップの「GRAND グラン」などがあります。

シリーズワイン名価格
ENSEMBLE アンサンブルBLANC、ROSE、ROUGE
ORANGE、GRANDなど
¥2,000〜¥3,500
ORIGINE オリジンKURAKAKE、CHIKUMAなど¥2,500〜¥4,500
GRAND グランシャルドネ、メルローなど¥4,500〜

金額はヴィンテージによって異なるそうです。試験的に醸造したものや、その年はリリースがないワインもあったり……一期一会ですね。

キジトラ
キジトラ

今年、とっておきのシラーもリリース予定だとか

最新情報は公式ホームページやSNSをご参照くださいね。

ワインの購入方法

さてワインの買い方ですが、オンラインショップはないため、ホームページからのメールフォーム、またはお電話でお問い合わせくださいとのこと。→お問い合わせページ

また、店頭でも買えるのは長野県内のみです。「できる限り産地の近くで飲んでもらえる縁を」「飲む人の顔が浮かぶことで品質に重きを置くワイン作りができる」とお考えで、顔の見える販売とお客様との関係性を大切にしているので、直接ご連絡をいただきたいそうですよ。

ワイナリー限定品もあるので、ぜひ長野にお越しの際はワイナリーに寄りたいですね!

参考情報

購入したワインのご紹介

私は以下の3本のワインを購入しました♪

詳しく伺ったのでご紹介しますね。

KURAKAKE FROST CHARDONNAY 2021(限定)

珍しいシャルドネの甘口ワイン!生産量は少なく、ワイナリー限定商品です。(¥3,960)爽やかで、繊細で甘美。カブさんも絶賛していました。

ブドウはほぼオーガニックの自社栽培のシャルドネの若木。霜をあててアイスワインの手前の状態にしたそうです。11月まで収穫を待ち、何度か霜をあててから収穫。ブドウを一度霜に当てるともう房に栄養はいかないので、少しハリがなくなり水分が蒸発していくんだとか。例えば糖度20%のブドウを10%蒸発させれば糖度は2度上がる、といった感じ。そうして糖度を25.5〜26くらいまで上げ、アルコール13%程度まで発酵させ、糖度を残し、甘口に仕上げます。

シャルドネで甘口を作ったらどうなるかやってみたという、試験的なもので300本くらいしかないそう。
……めちゃくちゃ美味しかったです。

ちなみに酸化にめっちゃ強いそう。飲み切るまで1ヶ月半そのまま放置していても全然酸化しなかったそうです。えええ!?

少なくとも1週間くらいたった方が香りが開いてくるそうです。それは楽しみ!つい飲んじゃいそうなので、大切に少しずつ飲んでゆっくり楽しみたいですね!

ICE KYOHO 2019 375ml

こちらも甘口の巨峰アイスワイン(¥1,760)アイスワインといっても極甘ではないです。

ブドウを冷凍庫に入れて凍らせて半解凍したのち、氷の部分を捨てて作ったいわば人工アイスワイン。
巨峰の香りをあまり出さないようにしているので、ブラインドで巨峰だとわかる人はいないそうw
アルコールは14度。 3年熟成しているので深みも感じられます。

通常の食用の巨峰より早めに収穫して酸を残したんだそう。また、種がないと味が乗らないのでブドウはもちろん種ありとのこと。種から出る成分で旨味が出るんですねー。

KURAKAKE MERLOT 2020

オリジンシリーズはメルローが買えました!(¥3,630)
2020年は面白い年で、どのワインも全体的に還元的だったそうです。

還元する理由はいろいろあるけど、ブドウ自体に力がないなど発酵に必要な養分が足りず、酵母が苦しんでいる状態なんだとか。収穫量は多かったけれど天気が悪くて、全年と比べ厳しい年だったそう。

2020年は還元的で、真ん中のボディがちょっとぬけるイメージらしいです。

収穫を11月まで遅らせて熟度高くフルーティに、さらにこの年は上級のグランメルローを作らなかったので選抜区画のワインもブレンドしたそう。難しいとしだっただけに上級キュヴェが入っているとは、期待しちゃいますね。

はたのさんの赤を飲んでみたくて気軽に買ったのですが、もうちょっとおいておくべきか悩ましいです(笑)

飲んだらまた詳しくレビューしますね!

飲む場所で味が違う!?

カーヴハタノのワインは、開けて2週間、1ヶ月くらいは全然酸化せず美味しく飲めるそうです。
でも、県外に持って行ったらどうなるかわからないとのこと。

信州のお味噌や野沢菜漬けを、ご実家の埼玉に持っていくと酸化するのが早いんですって。
温度だけでなく、気圧(空気の密度)が異なるため、微生物の動きが変わってくるのかもしれないそうです。えーーー!どこでも「現地で飲むと美味しい」と感じるのってそういう違いもあるのかも?

東京で開けたカブさんと、山梨で開けた私のその後の経過がどうなるか、楽しみですw

cave hatano(カーヴハタノ)まとめ

栽培や醸造について質問するとこだわりや思い、そして葛藤もとてもとても詳しく語ってくださいました。おかげで日本ワインの現状や、今後の展開など少し理解することができました。

「土地にあった、日本に合った品種で、日本ならではの育て方ができるようになれば、日本で作る意味が出てくるんじゃないか」と仰っていたのが印象的でした。

私も、日本もただ銘醸地と同じ品種、同じワインを目指すのではなく、日本の良さを活かした日本ならではのワインってないかなぁと思っていたんです。というもしかしたら波田野さんがそれを実現してくれるかもしれない……なんて思いました。

醸造の難しいお話も詳しくお話してくださってめちゃくちゃ勉強になりました。これからも波田野さんの挑戦を応援していきたいです!お忙しいところ本当にありがとうございました!

今回のツアーでは4件のワイナリーにお伺いすることができました。他の記事はこちらから合わせてご覧ください。