長野県東御(とうみ)ワイナリーツアーレポート 2023年3月

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3月某日、エルブランシュのソムリエ、カブさん(@kab_aileblanche)のご好意で長野・東御(とうみ)ワイナリーツアーに同行させていただきました♪

リュードヴァンの畑から臨む

ワイナリーの代表の方から直々に畑をご案内いただいたり、醸造・設備・ワインについてかなり詳しくお話をお伺いできました。個人で伺ってもなかなか聞けない貴重なお話ばかり!備忘・シェアのためブログに残させていただきます。

さて長野県・東御市ってどんなところかご存知ですか?

予習・復習のため長野ワインの歴史をざっくり振り返りました。ご興味ありましたらあわせてご覧ください、理解が深まるかと思います!すぐにワイナリーの話が聞きたい方はこちらまで飛んでください。

長野ワインの歴史をざっくり

日本ワイン、といえば山梨県をイメージする方も多いと思いますが、実は初めに国際的に評価を受けたワインは「シャトー・メルシャン 信州桔梗ヶ原メルロー1985」という長野のワインですし、現在も日本ワインのトップキュベは長野県のものが多いという事実もあります。

2003年には長野で原産地呼称管理制度が運用開始、2013年には「信州ワインバレー構想」が発表されるなど自治体の推進も得てワイン産業がとくに活性化されてきているそう。

長野ワインの歴史を時系列にまとめました。(施設名は現在のものです)

 

1688年頃 ブドウ栽培開始

初めの記録は江戸時代(1688年〜1710年頃)から甲州種が栽培されたとあるが後に衰退。明治に入って(1890年)に桔梗ヶ原(塩尻)が開墾され、寒さに強いコンコード種が桔梗ヶ原の主要品種となります。その後1902年に豊島理喜司が「信濃殖産会社」を設立し、ワイン醸造が開始されました。この頃のワインはいわゆる「甘味葡萄酒」です。

1936年 大手ワイナリーが長野に参入

1936年に「サントリー塩尻ワイナリー」、1938年には「シャトーメルシャン桔梗ヶ原ワイナリー」ができます。山梨に拠点のある大手メーカーが長野のブドウに注目して参入しはじめました。この頃に輸出入が厳しくなったため国内で原料のブドウを探していたという背景があるようですよ。

1973年 日本ワイン元年 本格ワイン作り開始

さて、1970年の万博の影響でワインが急激に売れ始めます。これを機に欧・中東系品種を使ったワインが作られ始め、桔梗ヶ原でもメルローを本格的に栽培するようになりました。小諸・北信でもワイン作りを開始。1973年(※)には「マンズワイン小諸ワイナリー」が設立されます。

1989年 国際ワインコンクール大金賞

そしてついに「シャトー・メルシャン 信州桔梗ヶ原メルロー1985」がリュブリアーナ国際ワインコンクールで大金賞を受賞し、世界的に評価され注目を集めはじめます。

2000年 長野にワイナリー激増、活性化

2000年以降は、さらにワイナリーが発展し東御市、塩尻市にワイナリーが相次いで立ち上がります。調べてみたところ東御市だけでも13ワイナリーありました。すごいな!

  • 2003 ヴィラデストガーデンファーム アンド ワイナリー
  • 2010 リュードヴァン、はすみファーム&ワイナリー
  • 2014 ドメーヌナカジマ
  • 2015 アルカンヴィーニュ
  • 2017 Cave hatano
  • 2017 ナゴミ・ヴィンヤーズ、アトリエ デュ ヴァン
  • 2019 496ワイナリー、LES VINS VIVANTS
  • 2020 ツイヂラボ
  • 2021 ぼんじゅーる農園
  • 2022 Aperture Farm

この他にも、東御市でブドウを作り、委託醸造でワインを作っているワインメーカーがたくさんいます。これからもワイナリーが増えていきそうですね。

・スターダスト・ヴィンヤード
https://yumahoshino.wixsite.com/stardustvineyard
・プレザンティール
https://www.presentir2013.com/
・児玉邸
https://ec.tsuku2.jp/shop/0000118117
・ROヴィンヤード
https://www.facebook.com/Rovineyard/

長野ワインの歴史、ざっとこんな感じです。
なるほど、長野はワイン振興に力を入れており、特に東御市が活発な場所だったんですね。

東御4ワイナリー訪問

それでは訪問したワイナリーをご紹介します。
それぞれ別の記事にまとめていますので、リンクから合わせてご覧ください。

ツイヂラボ

まずは「ツイヂラボ」さんに伺いました。
2020年にオープンした築地さんご夫婦が営む新しいワイナリーです。

自然な作りをモットーとしたブドウにも人にも優しいアットホームなワイナリーでした♪ワインの生産量は少なくてとても希少です。見かけたら是非お試しください!

リュードヴァン

続いて伺ったのが「リュードヴァン」さんです。この地域では2番目にできた、長野を代表する人気ワイナリーです。ワインショップ、カフェ、ホテルを併設し、ワイナリー設立をサポートしたりワインスクールを開催するなど精力的にご活躍されています。新しいワイナリーもできるとか!

オーナーの小山さんのお話がすごくロジカルで面白かったです……!豊富な知識と情報をもって、目の前の土地・ブドウ・ワインに向き合い真摯に声を聞いている、知的で誠実な姿勢にはファンにならずにはいられませんでした!

496ワイナリー

496とは「シクロ」と読みます。シクロはフランス語のcyclo「自転車」という意味。オーナーの飯島さんはプロの自転車競技選手だったそうですよ。

リリースしてすぐに漫画「神の雫」に掲載されたり、堀江貴文さんが収穫に来てワインを作っていたりなど、多方面から高評価、注目されているワイナリーです!その秘密は……?

Cave hatano(カーヴハタノ)

ヴィラデストワイナリーから独立された、2017年9月オープンのモダンでかっこいい新しいワイナリーです。地元の農家からブドウを引き継いだため、若いワイナリーながら樹齢の高い樹があるのが自慢なんだとか。伺ってみたら、カーヴハタノのワインは、開けて1ヶ月経っても酸化せず美味しく飲めるんですって!!どういうこと!?

東御ワイナリーレポまとめ

せっかく貴重なお話を伺ったので、なるべく詳細を記録に残しました。
ぜひワイナリーの記事もご覧ください!

行く前は「長野って粘土質が多くてメルローが人気らしい」って思ってました。本当にすいませんでした。

いざ伺ってみると特に東御市は川沿いに多様な土壌があり、超粘土質から水捌けの良い砂礫まで区画によって本当にさまざまでした。まだ歴史の浅いワイナリーも多く、どの品種、どんな作り方がいいか毎年土壌・気候・ブドウと向き合って試行錯誤されているのだと知りました。

日本は雨が多くてブドウが傷みやすいから、一つ一つ傘をかけたり、仕方なく薬をつかったり、日本でワイン用のブドウを栽培するのは本当に大変な手間とコストがかかるのだとよくわかりました。

その中でも、いかに美味しくできるか、土地の個性を活かすか、ビジネスとして存続できるようコストカットして手に取りやすい価格にできないか、ワインメーカーさんの真摯な姿勢に頭の下がる思いです。

そんなワイナリーを応援しつつ、私も頑張ろうと逆に励まされたような気持ちになりました。

本当にありがとうございました^^
また各ワイナリーのワインたくさん飲んで、レビューさせていただきたいと思います!

※……文中の史実は日本ソムリエ協会教本2022、各社ホームページ記載情報を参考にしました。